肝硬変などの肝機能障害は、肝臓が慢性的に炎症し、肝細胞が破壊と再生を繰り返します。そのうち、肝臓の細胞が線維化して、本来の肝細胞機能が果たせなくなってしまいます。
また、肝炎など初期段階での自覚症状がほとんどありません。そのため、肝機能障害などの疑いがある方は、早めに適切な治療を行うことが大切です。
肝臓病の患者さんはもちろん、肝臓の検査をしてみたい、健康診断で肝機能障害を指摘されたなどの場合はお身体を診せていただきます。
他の臓器の病気とは違い、比較的長い間通院が必要となる病気ですが、病気の説明をしっかりさせて頂き治療に当たることで、患者さんと強固な信頼関係を築いて診療に全力で望みたいと思います。
| 糖尿病性腎症 |
|---|
| 腎機能に障害が生じ、余分な水分や老廃物を体外に排出できず、透析が必要になる場合があります。日本の血液透析の原因第一位となっています。 |
| 糖尿病性網膜症 |
| 網膜を走行する血管に障害が生じ、最悪の場合失明する危険性があります。日本の中途失明原因の代表的な病気です。 |
| 糖尿病性神経障害 |
| 高血糖による神経細胞の変成や、動脈硬化により神経細胞への血流が滞ることで神経に障害が起こり、最悪の場合、下肢切断や全身性の感染症など命に関わる場合もあります。 |
脂質異常症自体にはほとんど自覚症状はありません。ただし、血管内のコレステロールが内壁に付着すると、粥状の物質ができます。すると粥状動脈硬化と呼ばれる動脈硬化が起こります。動脈硬化が進行すると狭心症などが引き起こされます。さらに放置していると、粥状に硬化した部分にできていたプラークが破裂し、冠動脈が詰まって、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす原因となります。
さらに現在では、悪玉コレステロール(LDL)が小型化したsd-LDL(超悪玉)コレステロールの存在も知られています。小型化によって血管壁に入り込みやすくなり、血管壁に入ると酸化されて、動脈硬化を進行を促してしまい、心筋梗塞や脳梗塞等のリスクが高くなると考えられています。

肝炎ウイルスにはB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスなど血液や体液を介して感染するものやA型肝炎ウイルスやE型肝炎ウイルスなど食事の摂取により感染するものがあります。
このうちC型肝炎ウイルスやB型肝炎ウイルスは肝臓がんの原因です。現在は、飲み薬の治療によりC型肝炎では9割以上でウイルス排除が可能になり、B型肝炎でもウイルスを押さえ込むことが可能になりました。
C型肝炎とはC型肝炎ウイルス(HCV)の感染により起こる肝臓の病気です。HCVに感染すると約70%の人が持続感染者となり、慢性肝炎、肝硬変、肝がんと進行する場合があります。
10年前の2015年には88万~130万人程度と推定されていた日本におけるHCV感染者も近年はDAA(直接作用型抗ウイルス薬)の普及により多くの患者が治癒に至り、感染者数は減少傾向にあります。しかしながら、依然としてHCV感染を認識していない人や認識していても通院されていない人が多いのが現状です。
また現在においても、肝がん患者の約50%がHCV抗体陽性者であり、抗ウイルス療法が進歩した現在においても、未だに年間2万3千人が肝がんにより亡くなっている現状があります。
肝臓は「沈黙の臓器」ともいわれ、肝炎になっても自覚症状はほとんどありません。そのため、気づかないままおよそ 20~30年で肝がんへと病気が進んでいきます。進むスピードは個人差があり、60歳をこえると肝がんになる確率が高くなります。病気が進むと治療も難しくなります。早めに検査をして、感染していないか確認しましょう。
アルコールが体内に入ってくると、肝臓では分解されるときにできる有害物質「アセトアルデヒド」が無くなるまで代謝し、分解し続けます。
長期に渡り大量のアルコールを飲み続けると、アルコールを分解する酵素の働きが活発になり、肝臓が働き続けるため機能が低下しアセトアルデヒドを分解できなくなる原因になります。
その結果、肝臓の細胞の変化が恒常的に続くようになり、肝細胞の変性・壊死と肝細胞の線維化が起こり肝臓の働きが衰えてきます。
これが、アルコール性肝機能障害です。また遺伝的な要因もありますが酵素が少ない方や女性はホルモンの影響を受けやすいことから男性に比べてアルコールの代謝速度が遅いため注意が必要です。
お酒の「適量」は、一般的に純アルコール量で1日20g程度(ビール中瓶1本、日本酒1合など)が目安ですが、性別、年齢、体質で大きく異なり、女性や高齢者は少なめ、顔が赤くなる人はさらに少ない量が適当です。生活習慣病のリスクを高めるのは男性で1日40g以上、女性で20g以上とされ、休肝日を設け週2日以上の飲まない日を作ることが重要です。
純アルコール20gに相当する酒量
慢性胃炎は、持続的な胃粘膜の炎症が特徴です。その背景にはさまざまな要因が存在します。慢性胃炎とは、胃の粘膜に炎症が長期間にわたり継続して起こる状態をいいます。
初期段階ではほとんど症状がない場合もありますが、炎症が繰り返されるうちに胃粘膜が萎縮し、胃酸の分泌量や消化機能に影響が及ぶことがあります。
萎縮が進むと栄養の吸収効率が落ち、全身の健康状態にも悪影響を及ぼす可能性があるため、早期の発見と対処が重要です。
慢性胃炎は、胃粘膜の炎症が起こる部位や病態の違いによって分類されます。大きく分けると表層性胃炎、萎縮性胃炎、鳥肌胃炎の3 種類が代表的とされ、それぞれ原因や症状の程度も異なります。
胃粘膜の最表層の部分に炎症が集中して起こるタイプで、初期段階の胃炎として発症することが多いです。比較的軽度の胸やけや胃もたれなどの症状が見られることが一般的ですが、放置していると炎症が深部にまで広がる可能性があります。定期的な検査と胃に負担をかけない生活を意識することが症状悪化を抑えるポイントです。
長期にわたる炎症が原因で、胃粘膜が次第に薄くなり萎縮した状態を指します。腺細胞が減少し、胃酸分泌の低下や栄養吸収機能の衰えを招くことがあります。この段階になると、無症状でも将来的に胃がん発症リスクが高まるため、原因療法や定期的な内視鏡検査が重要になります。
内視鏡で観察すると、胃粘膜に鳥肌が立ったような凸凹した変化が認められることからこの名がつけられています。ピロリ菌感染が大きく関わっている場合が多く、炎症の程度や菌の活動性によって治療方針が変わります。状態によっては生検で病理検査を行い、悪性化の可能性を慎重に判断することもあります。
慢性胃炎の主な原因として、感染や自己免疫異常などさまざまな要因があります。慢性胃炎の原因は多岐にわたりますが、その中でも特に注目されるのがピロリ菌の感染です。
同時に、自己免疫の異常や過度なストレス、食習慣などが重なることで炎症が長期化しやすくなります。複合的な要因が絡み合って発症するケースも多いため、どの原因が主に関係しているのかを絞り込むのが治療の第一歩となります。
ピロリ菌は強い酸性の胃内でも生息できる特殊な菌で、慢性胃炎や胃潰瘍だけでなく、胃がんの主要なリスク要因と考えられています。長期間住みつくことで胃粘膜を傷つけ、炎症が慢性化しやすくなります。早期に検査を受け、感染が確認された場合は除菌を行うのが一般的な対策です。
ピロリ菌が原因の胃潰瘍では、除菌治療が極めて重要です。標準的な除菌療法は以下の通りです。
自己免疫反応が原因で胃粘膜が傷つけられ、慢性的な炎症が続くタイプの胃炎です。比較的まれな疾患ですが、萎縮性胃炎への移行リスクが高い場合があり、結果的に胃の蠕動や消化機能に影響を及ぼすことがあります。早期の診断と的確な治療によって症状の進行を抑えることが可能です。
日々の生活習慣やストレスは胃粘膜に大きな影響を与えます。過度のストレスで自律神経のバランスが乱れると、胃酸の分泌や粘膜の修復力に悪影響を及ぼします。また、飲酒や喫煙、塩分の多い食事や刺激物の摂取なども炎症を悪化させる要因となるため、見直しが必要です。
慢性胃炎は症状が乏しくても、放置すると萎縮性胃炎やさらなる合併症のリスクを高める疾患です。定期的な内視鏡検査による早期発見と、ピロリ菌感染があれば除菌治療を行うことで、炎症の進行を抑えられます。あわせて生活習慣やストレス管理にも配慮し、総合的なアプローチで健康的な胃を保っていきましょう。
胃潰瘍とは、何らかの理由で胃の粘膜に傷がついた後、胃酸などの攻撃によって穴が開き、傷が粘膜の下にある粘膜下層や筋層などといった深いところまで達して、胃の壁の内側にくぼみ状の病変(潰瘍=かいよう)を生じた状態をいいます。進行すると組織がえぐられるように欠損し、場合によっては胃の壁に穴があく穿孔をおこし、重篤な状態に至ることもあります。
潰瘍をきたす原因としては、幼少時から胃の中に住みつき、持続的に胃の粘膜を障害するピロリ菌や、NSAID(ボルタレンやロキソニンなど)といわれる鎮痛解熱薬などによるものがあります。そのほか、ストレス、刺激物の過剰摂取や暴飲暴食、胃腸炎などに伴う細菌・ウイルス感染、過労などが挙げられます。
症状としては、腹部が中心の不快感・違和感などがあります。具体的には、主に上腹部を中心とした腹痛、背部痛、吐き気、もたれ感、腹部膨満感などです。潰瘍から出血をきたした場合は、吐血したり、黒色の便やタール便(コールタールのように真っ黒な便)が認められたりします。
胃潰瘍の治療は、原因や症状の重症度に応じて選択されます。近年では、特に薬物療法において顕著な進歩が見られており、治癒率の向上に寄与しています。
胃潰瘍治療の基本は胃酸分泌を抑制することです。主な酸分泌抑制薬には以下のものがあります。
ピロリ菌が原因の胃潰瘍では、除菌治療が極めて重要です。標準的な除菌療法は以下の通りです。
除菌治療後は、胃潰瘍治療のため胃酸分泌抑制薬による内服治療を継続します(胃潰瘍は8週間、十二指腸潰瘍は6週間程度)。
胃が荒れやすい方や、脳血管障害・虚血性心疾患・不整脈といった治療のために血をサラサラにする薬(抗血栓薬)などを飲まれている方は、予防的にPPIやH2ブロッカーなどの胃酸を抑える薬や粘膜保護剤などを定期的に服用することが望まれます。
また、衛生環境の改善などによりその比率は減ってきていますが、いまだに胃潰瘍の主な原因はピロリ菌です。胃の中にいる場合は、潰瘍や胃がんの予防のために、P-CABと抗生剤の2剤を1週間朝と晩に内服するピロリ菌の除菌治療を、若いうちに受けておくことが効果的です。
また、過度の食塩摂取は、胃の表面を守っている粘液を減らして胃によくないといわれているので、避けた方がよいでしょう。そして、日頃から喫煙・飲酒・暴飲暴食を避け、充分休養を取って胃腸にストレスをかけない生活を心がけることが基本です。
胃の内側(粘膜)にできる"いぼ状の隆起"のことを胃ポリープといいます。
大きさは数ミリのものから1cm以上のものまでさまざまで、形も平らなもの・丸いものなど多様です。
胃ポリープの多くは良性ですが、種類によっては注意が必要なものもあります。
胃ポリープの多くは良性ですが、種類によっては経過観察が必要なものや、早めの切除が望ましいものもあります。良性のうちに確認・治療を行うことが、将来の胃がん予防につながります。
胃がんは、胃の内壁を覆う粘膜の細胞が何らかの原因でがん細胞に変わり、無秩序に増殖することで発生するがんです。
がんが大きくなると、徐々に粘膜下層、固有筋層、漿膜へと外側に向かって深く進行していきます。
がんの進行に伴って、胃の近くにある大腸や膵臓、横隔膜、肝臓などにも直接広がっていきます。このようにがんがしみ出るように周囲に広がっていくことを浸潤(しんじゅん)と呼びます。
40歳以上になると発症率が上昇し、60歳代にピークを迎えます。高齢化に伴い高齢者の胃がんが増えており、女性よりも男性に多い傾向があります。
早く発見できれば胃カメラで切除、根治することができますが、ステージが進んで進行がんになると手術が必要です。
胃がんの初期段階では多くの場合、無症状なことが多く、定期検診や胃がん検診で偶然発見されることも珍しくありません。
胃がんの代表的な症状は、胃の痛み・不快感・違和感、胸やけ、吐き気、食欲不振などが挙げられます。がんの出血による貧血や黒色の便やタール便(コールタールのように真っ黒な便)がでることもあります
胃がんに限らず、がん全般の予防には禁煙、節度のある飲酒、バランスの良い食事、適度な運動が有効であることが分かっています。
タバコはほとんどのがんで発症のリスクになるので禁煙を心がけましょう。食生活では、塩分をとりすぎない、食物繊維をとる、脂肪分の少ない食事を心がけることが大切です。
胃液が胃から食道へ逆流する状態で、食道の粘膜がただれて(炎症が起きて)しまう病気です。
通常は胃液や食べ物が逆流しないよう、食道と胃の間の筋肉(下部食道括約筋)が機能していますが、この筋肉が上手く働かないことによって胃食道逆流症が生じます。
基本的に炎症や潰瘍の治療には胃酸を抑える薬(プロトンポンプ阻害薬やカリウム競合型アシッドブロッカー、H2ブロッカーなど)を用います。
逆流性食道炎は、高齢者でよく見かける病気です。未治療の場合には、日常生活に制限が生じる狭心症よりも生活の質(QOL)が低下することが報告されています。しかし治療により健康な人と同程度に戻ることも知られています。気になる症状があった場合には、早めに医療機関を受診することをお勧めします。
大腸の粘膜にできる良性の隆起です。しかし、中にはがん化する可能性を持つポリープも存在します。
大腸カメラで発見された場合、その場で切除できることが多く、将来的な大腸がん予防につながります。
大腸の表面の粘膜にできたがんを大腸がんと言います。
大腸の内側の粘膜に生じるイボ状のできものである「ポリープ」は、ほとんどが良性です。しかし一部にがん、あるいは悪性化する可能性のある良性の腫瘍である「腺腫」が含まれます。大腸がんで最も多いのは腺腫が時間をかけゆっくりと大きくなり、悪性化してがんになるパターンです。
この他にポリープの状態を経ずに、粘膜から直接がんが発生することもあると言われています。
大腸がんは進行が比較的遅いため、早期発見で治癒の可能性が高まります。40歳以上の方は年1回の便潜血検査や、必要に応じて大腸カメラを受けることが推奨されています。血便や便通異常、腹痛などの症状がある場合には速やかに検査を受けましょう。
大腸がんは特にS状結腸や直腸など食べ物が長くとどまる部位で発生が多く、発がん物質と接触することがリスクになると考えられています。
最近高脂肪、低繊維食の欧米型食生活が広がり、それが影響していることが指摘されています。脂肪の多い食物は腸内で胆汁酸や腸内細菌が作用しあって発がん物質ができ、それが大腸の粘膜と長期にわたって接触するうちにがんが発生します。また緑黄色野菜の不足、飲酒、運動不足、ストレスも関係があると考えられています。
日常的な身体活動は大腸がんの発症リスクを低下させることが科学的に示されています。特に運動不足はリスクを高める要因の一つであり、無理のない範囲での定期的な運動が推奨されます。
肥満は慢性的な炎症やインスリン抵抗性を引き起こし、がん細胞の増殖を助長する可能性があります。適正な体重を維持することが大腸がん予防に有効です。
炎症性腸疾患は、消化管の粘膜に原因不明の炎症や潰瘍が生じる慢性疾患の総称で、代表的疾患に潰瘍性大腸炎とクローン病があり、いずれも慢性的に症状が続いたり、寛解・再燃を繰り返す特徴があります。
大腸粘膜に直腸から連続的に炎症がみられ、しばしばびらんや潰瘍を形成する原因不明のびまん性非特異的炎症です。
経過中に再燃と寛解を繰り返すことが多く、腸管以外にも合併症を伴うことがあります。長期間かつ広範囲に炎症がある場合には、癌化のリスクもあります。
症状としては下痢、血便、腹痛、発熱などがあります。

潰瘍性大腸炎は増加傾向にあります。比較的若い方に発症し、10歳代から30歳代前半に好発するとされていますが、高齢者人口の増加とともに、高齢発症の潰瘍性大腸炎の報告も増えてきています。
原因は不明ですが、遺伝的要因や環境因子により、腸粘膜の免疫調整機構が傷害されて炎症を生じているのではないかと考えられています。家族にIBD患者さんがいる場合には、発症リスクが高まるとされています。
検査としては生検を含めた大腸カメラ、腹部超音波検査、CT検査などを行います。そのほか、診断の補助や活動性判定の補助として腸管粘膜の炎症反応を示すバイオマーカーである便中カルプロテクチンや炎症局所で産生される血清バイオマーカーであるロイシンリッチα2グリコプロテイン(LRG)も使用して、総合的に診断、活動性評価などを行います。
潰瘍性大腸炎の治療の中心は、5−アミノサリチル酸(5-ASA)製剤とステロイド製剤になります。炎症が直腸やS状結腸が中心の場合には注腸療法や座薬を使用する場合もあります。
再燃する場合や、5-ASAおよびステロイド療法で効果が認められない場合(ステロイド抵抗性)、ステロイドの減量で症状が悪化する場合(ステロイド依存性)には、チオプリン製剤(アザチオプリン、6-メルカプトプリン)、血球成分除去療法(GCAP)、生物学的製剤(インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、ベドリズマブ、ウステキヌマブ、ミリキズマブ、リサンキズマブ、グセルクマブ)、低分子化合物(トファシチニブ、フィルゴチニブ、ウパダシチニブ)などが使用されます。
各薬剤にメリット、副作用を含めたデメリットがありますので、患者さんへご説明の上、治療方針を相談して決定させていただきます。
© 2026 Sapporo Nishisen-Clinic.